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サービスプロフィットチェーン

前回「ビジネスモデル」に関する記事を書きました。今回はサービス業のビジネスモデルについて考えてみましょう。

では質問です。サービス業において一番大切なもの、最初にすべきことは何でしょうか。

色々な答えがあると思います。「お客様第一」という回答も多いでしょう。そんな中で、事業の継続性、継続的成長を考えた場合「従業員満足を最初に達成すべき。」という研究結果(ハーバードビジネスレビュー記事)があります。そのコンセプトをサービス業における利益創出の仕組みを「サービスプロフィットチェーン」と呼ばれています。

Source: Putting the Service-Profit Chain to Work
James L. Heskett Thomas O. Jones Gary W. Loveman W. Earl Sasser, Jr.Leonard A. Schlesinger

コンセプトは非常にシンプルで上の図の番号順に進んで行きます。まず従業員が満足することで、従業員が定着、生産性が向上し、その結果サービスが向上することで、顧客の満足度が向上し、顧客が定着しロイヤリティが向上しブランド化にもつながります。そして最終的な結果として売り上げの増加、従業員の創意工夫によりコストも削減し利益率も向上するという流れです。

このコンセプトだけ見ると、夢のような感じがして、「そんなことに成功している企業があるのかなぁ。」と思われるかもしれません。サービス業で高収益を達成している企業には、規模の大小を問わず存在します。

一例として国際的なホテルチェーンの「ザ・リッツカールトン」を紹介します。同社は従業員満足を含む、理念、価値観等を「ゴールドスタンダート」として明文化しています。このゴールドスタンダートの中で「従業員との約束」という項目があります。

従業員との約束

リッツ・カールトンではお客様へお約束したサービスを提供する上で、紳士・淑女こそがもっとも大切な資源です。 信頼、誠実、尊敬、高潔、決意を原則とし、私たちは、個人と会社のためになるよう持てる才能を育成し、最大限に伸ばします。 多様性を尊重し、充実した生活を深め、個人のこころざしを実現し、リッツ・カールトン・ミスティークを高める…リッツ・カールトンは、このような職場環境をはぐくみます。

この「サービスプロフィットチェーン」を組織で生きたものとするには、まず時間をかけてでも達成する経営者の決意が必要となります。その上で従業員と一緒になり仕組みを作り上げるて行きます。またこの「従業員満足」を中心とした考え方はサービス業のみでなく、営利・非営利と問わず全ての組織で有効な考え方です。

皆さんの組織ではどのようにしたらこの仕組みを導入できるでしょうか。何かマーケティングと関係がありそうですがいかがでしょうか。