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新型コロナウイルスから学ぶべきこと。(その1)

北海道において新型コロナウイルスは武漢からの旅行者の感染が確認され、雪祭り後に感染拡大の兆候が見えた段階で知事の英断で緊急事態宣言を出し、全国に先駆けて一時は収束されたかのように思われました。しかし現在は再度感染者数が全国平均より高いペースで増加しています。「マネジメント」の手法を使って、ここで改めてしっかりと状況分析をし、今すべきこと、今後の対応を考える時です。まずは今回の件の基本情報である「ウイルスとは何かを理解するところから始めましょう。

ウイルスとは何か

ウイルスの生態

まずはインターネットで調べたのですが、腹に落ちる情報がないので、1冊本を買い勉強しました。(ウイルスの意味論ー生命の定義を超えた存在)この本はウイルス学研究者で東京大学名誉教授の山内一也先生の書かれた本で、わかりやすく、しかも科学的に出典も明確にした上で、更にウイルス学の歴史が物語としても興味深く書かれています。お勧めします。この本を読んで、インターネットで十分な情報が得られない理由が分かりました。ウイルスの世界はかなり奥深い、未知の領域が未だ存在する世界だからです。

1.自力で増殖できない。

さて、「ウイルスとは何か」から始めましょう。この問い自体が非常に重要であり、本質的な問いであることが分かりました。ウイルスは「生命のようで、生命でない。」存在なのです。ウイルスに細胞はなく、遺伝子情報を含むDNAまたはRNAを殻(カプシドと呼ばれる)で覆われただけの存在です。自らの力で増殖することはできません。(これが私たちが戦略を考える上で1つ目の重要なポイントだと考えます。)

2.宿主との共存が必要

そして、宿主(動物・植物・微生物)に寄生(感染)し、宿主の資源(タンパク質など)を利用し、宿主内部で増殖し、子ウイルスを放出します。よって宿主との共存が存続の基本となります。(これが2つ目のポイントです。)

3.増殖・生存地域拡大には宿主および宿主間の移動が必要

またウイルスは細胞から放出されたばかりの状態では感染力を持っているが常温 (20度前後) であれば、多くのウイルスは数時間で死んでしまい、自ら移動することはできません。もっとも有効な移動(増殖)方法は人間や動物に感染して宿主が移動することです。(これが3つ目のポイントです。)

ウイルスは、もっと興味深いことがたくさんあるのですが、今日は上記の3点に絞って、今すべきことに関してこ考察したいと思います。

今すべきこと

現在の感染を収束させるためにすべきこと

上記3点に加え、今回の新型コロナウイルスの特徴を整理しておきましょう。

新型コロナウイルスの特徴

  • 感染初期の無症状の段階で子ウイルスの放出がされる。
  • 高齢者・持病がある人を中心に重症化(肺炎)する。
  • 上記以外の人は自覚症状がないことが多い。
  • 未だ、治療薬・ワクチンが開発されてない。

これらの情報から今、我々がこの事態をスムーズに収束する(マネジメントする)際にすべきことを考えてみてください。

1.感染数を増やさない方法

まず、第一、第二、第三の特徴を考慮すると理論的に感染者が存在しても、放出されるウイルスを体内に取り組む人がいなければ、放出されたウイルスは感染力を失いますのでそれ以上の感染者は増えません。

2.感染地域を拡大させない方法

3つ目の特徴「増殖・生存地域拡大には宿主および宿主間の移動が必要」である点をですが、ウイルスは大気中では長い時間感染力を維持できないため、感染者(特に無症状の)が移動しなければ、感染地域は広がりません。

また、新型コロナウイルスの現状として、治療薬、ワクチンがない状況を考慮すると、収束させ、感染地域を拡大させない取り得る唯一の方法は、「人と接触しない、移動しない」ということです。これを徹底して行わなければ、何時まで経っても感染は収まりませんし、感染地域も拡大してしまいます。

今回の感染者を増やし、感染地域を広げているのはウイルスではなく、我々「ひと」です。今こそ、日本を代表する起業家 渋沢栄一の唱えたように自分の利益だけでなく社会の利益も考え「道徳・経済合一説」を実行に移し、特に症状のない方を中心に皆で“Stay home”を徹底しましょう。